養殖場の紹介

あまご養殖を始めたのは

私(先代)は、若い頃より渓流釣りが好きで、我が川(加古川源流の一の瀬川)はもとより、仕事が石積職人だったため方々の現場を渡り歩き、休みの日には山の中へ釣りに行くことを楽しみにしていました。
しかし年毎に渓流魚(あまご)が減ってきており悲しい思いをしていました。
その思いがあまご養殖に繋がっていきました。
手探りで始めた時期は東京奥多摩水産試験場・岐阜水産試験場より2年ほど後のことでした。

養殖場でのあまごの1年


採卵(10月中旬~11月初旬)
成熟した2年魚のメスのあまごに電気ショックを与え仮死状態にし、体表の水気を良くふき取り、腹を割いて卵を取り出します。

採精
オスあまごも水気を良くふき取り、胸びれから肛門へしごくようにして精子を絞り出します。
水気を良くふき取るのは、卵や精子が水に触れると受精率が低下してしまうからです。

精子が元気かどうか顕微鏡で確認しています。

受精
卵に精子をかけ静かに混ぜ合わせます。
その後、等張液(0.9%食塩水)で余分な精子や汚れを洗い流します。

検卵
受精後、積算温度(水温×所要日数)200℃くらいで卵の中に眼が確認できる状態の発眼卵になります。
発眼卵になると少々触っても大丈夫なので、受精できずに死んでしまった卵をより分ける検卵を行います。
孵化盆(木の枠に網を張った物)1枚に3千~5千粒の卵が入っています。

孵化(12月)
検卵後30日足らずで孵化し、孵化直後は腹に養分の袋(卵黄嚢)を持っています。
画像は孵化後しばらく経ったもので、卵黄嚢はほとんど目立たなくなっています。

餌付け(12月末~1月初旬)
卵黄嚢が無くなったら孵化場の稚魚池(約2㎡)に3~4万尾放します。
最初のうちはほとんど池の底でじっとしています。
数日経ち浮上してきたら、粉末状の餌付け用の餌を2時間おきに、一池にティースプーン1杯与えます。
こうやって餌の味を覚えさせ、魚が大きくなるにつれ餌の粒も大きくしていきます。

育成 選別
同時期に孵化したあまごでも成長するにつれ、早く大きくなる魚と、なかなか大きく成らないのが出てきます。そんな魚を同じ池で飼っていると、共食いを始めてしまうので、選別器に通し大きい魚と小さい魚をより分けます。画像の選別器はステンレスパイプの間隔が15mmで、50g以上の魚が残ります。

出荷するときは人の手で一尾ずつ大きさをそろえます。

出荷(年中)
7月末には塩焼きのできる大きさになります。
水槽を積んだトラックで、酸素をブクブクさせながら生きたまま(活魚)で運びます。

養殖場
●孵化場(2㎡×水深0.4m、10面)

●奥の池(20㎡×水深0.8m、6面)
池の中に黒っぽく見える影は孵化場から運び入れたあまごの稚魚(平均体重0.5g)です。
ひとつの池に約7万尾の稚魚が入っています。